#014 今から備える熱中症対策①

春から夏にかけてこの時期は、体調管理に十分に気をつけて、トレーニングやスポーツ活動を実施していただきたいと願い熱中症について皆様へお伝えいたします。

以前#003のコラムでは熱中症が起こる要因についてご紹介しました。

■熱中症とは?

熱中症とは、暑さによって生じる障害の総称で熱失神、熱痙攣、熱疲労、熱射病などの病型があります。

運動をすると大量の熱が発生し、一方で皮膚血管の拡張と発汗により体表面から熱を放散して体温のバランスが保てず、暑さにより熱放散の効率が悪くなり生理機能の調節や体温調節が破綻することで熱中症は起こります。

運動による熱中症事故は、無知と無理によって健康な人に生じます。適切な予防措置を講ずれば防げるものです。

事故の中には、最悪なケースである死亡事故も含まれています。死亡事故に至らなくても熱中症になるとしばらくの間、運動やスポーツ活動を控えなければいけないため、トレーニングの面からも、精神的な面からもマイナスな影響を受けます。

トレーニングの質を下げずに効果的なプログラムを継続するためにも屋内外問わず、運動・トレーニングやスポーツ活動では熱中症が起こりやすいので熱中症の兆候に注意して、適切な対処や予防、早めの準備が必要です。

熱中症の4つの病型

運動時、主に注意するのは熱疲労と熱射病です。

重症の病型である熱射病は、死亡率も高いため症状が疑われる際は早急に対応が求められます。

病型

1.熱失神

・皮膚血管の拡張と歌詞への血液貯留のため血圧が低下し脳血流が減少して起こる

・症状:めまい、失神(一過性の意意識消失)など

・救急処置:身体冷却(涼しい場所へ移動、水分・塩分補給)をして、足を高くし寝かせる

2.熱痙攣

・発汗により水分(塩分を含まないまたは少ない)補給のみで、血液中の塩分濃度が低下した時に起こりやすい

・症状:痛みを伴う筋痙攣(こむら返りのような状態)がみられ、上肢(腕)や腹筋、下肢(脚)などに起こります

・救急処置:涼しい場所へ移動し、生理食塩水(0.9%食塩水)などの濃いめの食塩水による水分補給や点滴により通常は回復します

3.熱疲労

・発汗による脱水と皮膚血管の拡張による循環不全(血液、呼吸)の状態

・体温は上昇しても40度を超えることはない

・熱疲労から熱射病に進展させてはいけない

・症状:脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気、息切れなど

・救急処置:涼しい場所へ移動し、スポーツドリンクなどで水分・塩分補給することで通常は回復します。嘔吐などにより水分がとれない場合は、早急に点滴などの医療処置が必要です

4.熱射病

・体温が40度を超える(高体温)

・高体温による脳(中枢)機能に異常をきたした状態

・症状:体温調節が働かないため、意識障害の多くみられる。応答が鈍い、言動がおかしいと言いた状態から進行すると昏睡状態となる

・高体温が続くと脳だけでなく、肝臓、腎臓、肺、心臓などの多臓器障害を併発し、死亡率が高くなる

・救急処置:死の危険がある緊急事態であり、早急な身体冷却が求められ、救急要請→医療処置が必要となる

梅雨明け〜8月は、特に十分に気をつけて、トレーニングやスポーツ活動を実施していただければ幸いです。

◆参考/引用

・日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」

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