#02 「BMIと健康の関係性」

あなたの適正体重は〇〇です。と見たり聞いたりされたことは多いのではないでしょうか。

希望体重を目指される理由はいくつもあります。

今回は、健康の観点から適正体重と示される理由を考えてみたいと思います。

あなたにとっての適正体重はどのような目的で考えられたものでしょうか?

・スポーツパフォーマンス高めるため

・ボディメイクコンテストにでる目標や自分が納得いくカラダ(見た目)を作るため

・過去の経験から健康的で身体に負担が少ないと感じていられる数値から

・人気の芸能人やモデルさんを参考にされた「シンデレラ体重(モデル体重)」が巷にはあるようです。

色々な理由や目的はありますが、今回は適正体重=健康的な体重として考えていきます。

■そもそもBMIって何?

食事指導の中では、エネルギー出納の結果や体重の変化を見るためBMIを用いていますが、

BMIの始まりは、アメリカの生命保険会社が保険契約者(20歳以上の男女)のデータを基に示した総死亡率を指標に健康的な理想体重の表をつくり、体格を大中小の3つのグループに分け、同一の身長に対し総死亡率の最も低い体重幅の中間値を示したもので、健康状態を数値化する肥満度の計算に用いられていました。

日本では、明治生命標準体重表(保険契約者の最低死亡率を基にした体重データから)などが使用されました。

現在は、有病発症のリスクが低く、総死亡率が最も低いBMIを参考に、健康診断の標準体重(=22×身長(m×m))数値として提唱している例もあります。

つまり、BMIは、死因を問わず総死亡率が最低になる体重の範囲指標として利用されています。

BMIを参考に、健康的な体重を総死亡率が最低になる体重として定義して考えていきます。

■近年の世界調査報告データからBMIをみる

⑴欧米諸国のデータ報告

・35~89歳を対象とした約90万人のデータを用いた追成調査によると男女ともにBMI22.5〜25.0の群が最も低い総死亡率であることが認められた。

⑵東アジアのデータ報告

・65~79歳のグループでは、BMIが高いほど総死亡率が低い傾向にあることが認められた。

・BMIと総死亡率の関連は年齢により異なり、追跡開始年齢が高くなるほど総死亡率を最低にするBMIは男女ともに高くなる傾向があることがわかりました。

注意点は、

・肥満のパラドックスや対組成(体脂肪量、除脂肪量)を必ずしも反映していないこと

・追跡調査期間中に有病発症し、体重減少をコントロールした治療などの影響を考えること

・肥満者の生活習慣病(様々な合併症)による脳血管病による死亡リスクの増加が見られること

⑶日本のデータ報告から健康体重を考える

日本における年齢階級別に総死亡率を最低にするBMIの追跡調査報告は、

40〜49歳で男性23.6、女性21.6

50~55歳で男性23.4、女性21.6

60〜69歳で男性25.1、女性22.8

70~79歳で男性25.5、女性24.1

であることがわかりました。

人生100年時代を考える点で

100歳を超える超高齢者の多くの報告から学べること、特徴は以下の点でした。

・自立した生活が90歳代初めまでできていたこと

・糖尿病や高コレステロール血症の合併が少ないこと

・85歳までの疾患や運動制限の発生リスク(レッドゾーン)がBMI25以上の肥満者では健康においてリスクが上がること

・生活習慣病を伴う肥満者においては、経過観測を見ながら改善に努めること

世界のデータをまとめた研究報告にて発表されたBMIと総死亡率の範囲から目標とするBMI数値範囲は下記の通りでした。

18〜49歳でBMI 18.5~24.9

50~64歳でBMI 20~24.9

65〜74歳でBMI 21.5~24.9

75歳以上でBMI 21.5~24.9

※BMIは男女共通した数値です。

■BMIと健康的な体重を考えてみると

BMIはあくまでも健康を維持し、生活習慣病の発症予防を行うための目安の一つとして扱う指標となります。

また、BMIを参考にしながらも、高い身体活動は、独立して総死亡率の低下に関連することが認めら得ているため、健康的な体重を目標設定として、運動習慣をつくることは健康には不可欠だと考えます。

特に高齢者では介護予防の観点から、脳卒中を始め、疾患予防とともに、低栄養との関連が強い加齢によるフレイルを回避することが大切です。

■今後の課題と対策

・目標体重数値やBMIなどの情報を定期的に精査していくこと

・健康の保持・増進、生活習慣病発病の予防のため、身体活動の増加(消費エネルギーの増加)と食事によるエネルギー摂取のバランスを見て、BMI数値を参考としながら個人の目的に合わせた体重設定をしていくこと

・BMIから運動と食事のエネルギーバランスを見て、筋力と筋肉量を維持しながら、低体重状態やフレイルを回避すること

・各年齢段階においても、栄養バランスのとれた食事アドバイスやコーチング(食育)は、運動習慣と合わせて健康や様々な目的の観点から行動目標として、健康に関わる専門家から情報を発信していくことが必要不可欠だと考えます。

■LWS(LIFE WORK STRENGTH)にできること

・肥満者を減らし、生活習慣病の発症のリスクを減らすこと

・ライフスタイルにおける運動と食事の分析、プログラムを作成して生活習慣の中で定着するサポートをすること

・情報を常にアップデートしていき、有益な情報を利用者の皆さんはもちろん外部へ発信していくこと

◆参考

・厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」策定検討会報告書

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