#03「運動で熱中症が起きる要因」

暑い時期は、体調管理に十分に気をつけて、トレーニングやスポーツ活動を実施していただきたいと願い、熱中症について皆様へお伝えいたします。

熱中症とは、暑さによって生じる障害の総称で熱失神、熱痙攣、熱疲労、熱射病などの病型があります。

運動をすると大量の熱が発生し、一方で皮膚血管の拡張と発汗により体表面から熱を放散して体温のバランスが保てず、暑さにより熱放散の効率が悪くなり生理機能の調節や体温調節が破綻することで熱中症は起こります。

運動による熱中症事故は無知と無理によって健康な人に生じます。適切な予防措置を講ずれば防げるものです。

事故の中には、最悪なケースである死亡事故も含まれています。死亡事故に至らなくても熱中症になるとしばらくの間、運動やスポーツ活動を控えなければいけないため、トレーニングの面からも、精神的な面からもマイナスな影響を受けます。トレーニングの質を下げずに効果的なプログラムを継続するためにもこれからの季節は特に注意しなければなりません。

今回は運動で熱中症が起きる要因について考えていきます。

要因は大きく分けて3つ考えられます。

1.人的要因

個人や指導者の知識、経験から判断や評価を誤り、事故を起こす可能性があります。

また、指導者による部活動などの罰で暑い中長時間のランニングを続けさせた結果事故を起こすケースが後を絶ちません。トレーナー(指導者)は人の命を預かっているという危機感を持ち指導しなければいけません。

例えば、暑い中、ご自宅から20〜30分程のウォーキングをされてジムに来られたお客様にヒアリングや体調チェックを軽視して、ウォーミングアップも不十分な状態のまま高強度の筋力トレーニングを実施する事はリスクが高まると考えられます。

2.環境要因

近年、地球温暖化や都市化によるヒートアイランド現象などから暑い日が多くなり、日常生活での熱中症死亡事故が増えています。特に人口の高齢化の進行により、低体力の方や運動不足の方、生活習慣の乱れなどによる肥満の方へのリスクが更に高まっています。

急な天候の変化もあり、1日を通して外出時や運動前、運動中、運動後も天候に気をつけなければいけません。

熱中症予防のため暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)を見ることで運動実行、休憩などの判断基準にすると良いと考えられています。

環境省の熱中症予防情報サイトからも随時確認できますので日頃からチェックしてみてください。

https://www.env.go.jp

3.運動強度

体温は運動強度に比例して上昇します。

運動強度が高すぎることで体温調節機能がうまくいかずに循環器系や中枢神経系の機能不全が起こり、命の危険が高まる可能性があります。

寝不足やエネルギー不足など体調がおもわしくない場合や体力レベルが低い場合は、特に体温調整機能が十分に機能しにくく、環境気温や運動強度に耐えられず熱中症事故が起こりやすくなります。

体力レベルを常に健康的な状態に保ち、過体重にならないように気をつけることやスポーツ活動においても暑熱順化トレーニングを実施することも大切です。

トレーニングを始めたばかりの肥満体型である方は運動による熱中症死亡事故が最も高いため、今からの季節は特に注意が必要です。

◆参考/引用

・日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」

・環境省「熱中症予防情報サイト」

関連記事

  1. #010サルコペニア肥満

  2. #015 今から備える熱中症対策②

  3. #012 死の四重奏のはたらき

  4. #017 今から備える熱中症対策④

  5. #011 死の四重奏

  6. #09感染症からのトレーニング復帰

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。